この半透明のiMac見ると、当時の彼氏んちで、もらった鹿肉を反射式ストーブの上で焼いてたら、油の煙がもうもうと出てきてアパートの部屋中鹿油まみれになって、このiMacも油でベトベトギトギトになったのを思い出す。
— アヤノっち✎賃管受けるよ (@ayano_tb) 2021年4月22日
Appleの新商品発表会からもうすぐ1週間である。
今回の目玉は、iPad Pro12.9インチのミニLED搭載のディスプレイが綺麗なやつと、iMacなのかなと思う。
いや、買わない。もらえるなら嬉しいけど。
あの薄紫のiPhoneもいいよなあ。
そこへ、誰かがむかーーーしのゴロンとしたブラウン管?のiMacの写真と、今回の薄い板のようなiMacの比較写真をTwitterにupされていた。
懐かしい。
あの青いゼリーのようなiMacは、当時の大学生の欲しいPC No.1だったのだ。
私はちなみに頑ななWindows派だったので、めっちゃgatewayだった。牛である。
つまり、大学生だった彼氏が、このゴロンとしたiMacを持っていたのだった。
彼は、音楽仲間でもあったので、バンドの仲間(おっさん)がよく彼の家に集まって飲み会をしていた。
貧乏大学生の家に、おじさんたちがいいお酒や美味しいおつまみを持って来てくれるのだ。
ある日、おじさんがどこからか鹿肉を入手して持参した。
昼間から鹿肉パーリィになった。
しかし(駄洒落じゃない)、鹿肉なんて彼はもちろん私も調理したことがない。とりあえずマジックソルトをぶっかけて、アルミホイルに包んで反射式ストーブの上に乗っけてみた。
じゅうじゅうといい匂いと音を立てて、煙が出てきた。
別のおつまみを用意していたおじさんが「焼けてきたかな、しっかり火を通せよ」と言ってきた。
鹿肉は、しっかり加熱しないと、食中毒を起こす。
私の父はそれで七転八倒のひどい目にあったことがあるのだ。
そんな話をしながら、私と彼氏はストーブの前で鹿肉が焼けるのをじっと見つめていた。
肉からは、どんどん煙が出てきた。料理する時には換気扇を回すものだが、部屋のストーブで焼いているのでそばに換気扇なんかない。
「ちょっと煙くない?」私は言った。
「だよね」彼氏は同意した。
おじさんが台所から部屋を覗いて叫んだ。「換気だ換気!!」
もう一人のおじさんが慌てて玄関ドアを開けた。私が換気扇という換気扇を回し、窓も開けた。
10畳一間のアパートは、真っ白な煙で満たされていた。
彼氏は慌てて立ち上がったが、煙に含まれる油が畳に染みつき、思いっきり滑って転んだ。
アパートの向かいは大家さんのお宅だった。大家さんはアパートの一室からもうもうと煙が出るのを下の庭から呆然と眺めていた。
「大丈夫です、火事じゃないんで!」私は叫んだ。
めっちゃいい匂いの煙が、駅裏の住宅地に広がった。
風もない穏やかな日だったので、その辺にあったうちわや箒で煙を追い出した。
ひとしきり煙を追い出した後、鹿肉は食べたような記憶がある。
おじさんたちは帰り、私は後始末をしていた。
「うぎゃ」彼の声が聞こえた。
「どしたの」
「俺のiMacが」
見ると、iMacを置いてある金属の棚の支柱が、油でギトギトになっていた。
iMacを指でこすると、立派に指紋が残った。
半泣きになりながら、ティッシュか何かでiMacの油を拭く彼。
ストーブの近くにあったので、一番の犠牲者だった。
部屋の匂いは、1週間ぐらい抜けなかったらしい。
まだ、ファブリーズがない時代だったと思う。
先日、久しぶりにこのiMacの写真を見て、そんな青春の1ページを思い出したのだった。
ちゃんちゃん。